お問い合わせ
お電話(平日 9:30〜17:30)072-628-3152LINEで問い合わせお問い合わせフォーム
パソコンでご覧の方は、スマートフォンでQRコードを読み取ってLINEの友だち追加ができます。お問い合わせ
お電話(平日 9:30〜17:30)072-628-3152LINEで問い合わせお問い合わせフォーム
パソコンでご覧の方は、スマートフォンでQRコードを読み取ってLINEの友だち追加ができます。年末調整は「1年分の所得税を正しく精算する手続き」です。ふだん税金に触れない方にとっては、配られる書類の意味がわかりにくいと思います。このページでは、令和8年分(2026年12月)の年末調整について、書類3枚の書き方を、細かい例外はいったん置いて、ざっくりと説明します。
令和8年分は、基礎控除・給与所得控除・扶養親族の所得要件がまとめて引き上げられた年です。昨年までと同じつもりで書くと損をすることがあるので、変更点から先にお伝えします。
結論(令和8年分の年末調整の書き方)
令和8年度の税制改正で、いわゆる「年収の壁」が178万円まで引き上げられました。改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分の所得税から適用されます。毎月の給与から引かれている源泉所得税には改正が反映されていないため、差額は12月の年末調整でまとめて精算されます。12月の手取りがいつもより増える方が多いはずです。
だれにでも適用される基礎控除が引き上げられました。合計所得金額489万円以下(給与だけなら年収およそ665万円以下)の方は104万円です。
| 合計所得金額 | 令和7年分 | 令和8年分 令和9年分 | 令和10年分 以後 |
|---|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 104万円 | 99万円 |
| 132万円超 336万円以下 | 88万円 | 104万円 | 62万円 |
| 336万円超 489万円以下 | 68万円 | 104万円 | 62万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 63万円 | 67万円 | 62万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 | 62万円 |
| 2,350万円超 2,400万円以下 | 48万円 | 48万円 | 48万円 |
| 2,400万円超 2,450万円以下 | 32万円 | 32万円 | 32万円 |
| 2,450万円超 2,500万円以下 | 16万円 | 16万円 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 | 0円 | 0円 |
この104万円は1本の控除ではなく、本則(恒久的な金額)に2種類の上乗せを重ねた合計です。上乗せのうち大きいほうは令和8年分・令和9年分の2年間限りなので、分けて見ておくと令和10年分以後の見通しが立ちます。
| 合計所得金額 | 本則 (恒久) | 上乗せ1 (恒久) | 上乗せ2 (令和8・9年分限り) | 合計 (令和8・9年分) |
|---|---|---|---|---|
| 132万円以下 | 62万円 | 37万円 | 5万円 | 104万円 |
| 132万円超 336万円以下 | 62万円 | — | 42万円 | 104万円 |
| 336万円超 489万円以下 | 62万円 | — | 42万円 | 104万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 62万円 | — | 5万円 | 67万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 62万円 | — | — | 62万円 |
上乗せ2(令和8年分・令和9年分限りの加算)がなくなり、残るのは本則62万円と、合計所得金額132万円以下の方への上乗せ1の37万円(合計99万円)だけになります。合計所得金額132万円超の方は62万円に戻る計算です。
なお、令和8年分の給与所得控除の最低保障74万円にも同じように時限の上乗せ(5万円)が含まれています。178万円の壁は、いまのところ令和9年分までの姿だとお考えください。
給与収入から差し引く給与所得控除の最低保障額が、65万円から74万円に上がりました。基礎控除104万円と合わせると104万円+74万円=178万円。パート・アルバイトの方は、年収178万円までは所得税がかからないことになります。
178万円は「所得税の話」です。住民税は基準が違い、お住まいの市町村によってはおよそ112万〜119万円から課税されます。また、社会保険の扶養(130万円)も税金とは別の制度で、19歳以上23歳未満は150万円です。税金とは判定のしかたが違います。なお、勤務先の社会保険に加入する「月8.8万円(106万円)」の要件は、2026年10月1日から撤廃されています(詳しくは扶養の範囲内で働くならいくらまで?)。
扶養に入れられるかどうかのラインも上がりました。給与所得控除が9万円増えたぶん、給与収入で見た金額も9万円ずつ上がっています。
| 区分 | 合計所得金額 | 給与収入なら |
|---|---|---|
| 配偶者控除・扶養控除の対象 | 62万円以下 | 136万円以下 |
| 配偶者特別控除の対象 | 62万円超 133万円以下 | 136万円超 207万円以下 |
| 勤労学生控除の対象 | 89万円以下 | 163万円以下 |
大学生くらいのお子さんがアルバイトをしていて、年収136万円を超えてしまった——という場合に効く控除です。19歳以上23歳未満で、合計所得金額が62万円超123万円以下(給与収入136万円超197万円以下)なら、収入に応じて最高63万円が控除されます。
| お子さんの合計所得金額 | 給与収入なら | 控除額 |
|---|---|---|
| 62万円超 85万円以下 | 136万円超 159万円以下 | 63万円 |
| 85万円超 90万円以下 | 159万円超 164万円以下 | 61万円 |
| 90万円超 95万円以下 | 164万円超 169万円以下 | 51万円 |
| 95万円超 100万円以下 | 169万円超 174万円以下 | 41万円 |
| 100万円超 105万円以下 | 174万円超 179万円以下 | 31万円 |
| 105万円超 110万円以下 | 179万円超 184万円以下 | 21万円 |
| 110万円超 115万円以下 | 184万円超 189万円以下 | 11万円 |
| 115万円超 120万円以下 | 189万円超 194万円以下 | 6万円 |
| 120万円超 123万円以下 | 194万円超 197万円以下 | 3万円 |
年収136万円までは特定扶養控除(63万円)、そこを超えたらこの控除が引き継ぐ形になるので、197万円までは控除が急に消えません。お子さんのアルバイト代を気にしていた方には朗報だと思います。
23歳未満の扶養親族がいる方は、新生命保険料の控除限度額が4万円から6万円に上がりました。ただし、一般・介護医療・個人年金を合わせた合計12万円という上限は変わりません。
毎月のお給料から引かれている所得税は、あくまで「だいたいこのくらい」という概算です。1年分の給与が確定してから正しい税額を計算し、毎月引かれた源泉所得税との差額を調整するのが年末調整です。
計算は会社がしてくれます。ただし会社は、あなたの家族構成や、あなたが払っている保険料を知りません。だから書類で申告してもらう必要があるのです。逆にいえば、書かなければ控除は受けられません。ここだけは正確に書いてください。
配偶者控除・配偶者特別控除/扶養控除/特定親族特別控除/障害者控除/ひとり親控除・寡婦控除/勤労学生控除/生命保険料控除/地震保険料控除/社会保険料控除/小規模企業共済等掛金控除(iDeCoなど)/住宅ローン控除(2年目以降)
会社から配られるのは、たいてい次の3枚です。それぞれ役割が違います。
家族のことを書く紙。じつは翌年の毎月の給与計算用です。
保険料を書く紙。控除証明書を貼って提出します。
自分と配偶者・お子さんの所得の見込みを書く紙です。
令和7年分まで「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書(基・配・所)」だった様式に、特定親族特別控除申告書が加わりました。3枚目は「基・配・特・所」と呼ばれます。
まず、この書類の位置づけから。これは年末調整のための紙ではなく、翌年の毎月の給与計算のための紙です。11月〜12月に配られるのは「令和9年分」であることがほとんどで、そこに翌年の家族の状況を書いてもらうことで、翌年1月からの源泉徴収額が決まります。あわせて年末時点の扶養状況の確認にも使われる、という順番です。
「控除対象扶養親族」が「源泉控除対象親族」になりました。控除対象扶養親族に加えて、19歳以上23歳未満で合計所得金額が62万円超100万円以下の方(特定親族)もここに書きます。毎月の源泉徴収の段階から特定親族特別控除を効かせるための改正です。
会社によっては障害者手帳のコピーの提出を求められます。控除額が大きい項目なので、該当する場合は書き漏らさないようにしてください。
10月ごろに保険会社などから届く控除証明書を見ながら書きます。ハガキや圧着はがきで届き、捨ててしまいがちなので注意してください。紛失した場合は保険会社に再発行を依頼できます。
証明書には、その保険が次のどれに当たるかが書かれています。
| 区分 | 中身 | 控除の上限 |
|---|---|---|
| 一般の生命保険料 | 死亡保険・学資保険など | 4万円 (23歳未満の扶養親族がいる方は6万円) |
| 介護医療保険料 | 医療保険・がん保険など | 4万円 |
| 個人年金保険料 | 個人年金保険(税制適格特約付き) | 4万円 |
| 合計 | — | 12万円 |
ざっくりいうと、1つの区分で8万円の保険料を超えていれば、その区分の控除額は上限の4万円になります(23歳未満の扶養親族がいる方の一般の生命保険料だけは、12万円を超えていれば上限の6万円です)。それぞれ「新制度」「旧制度」の区分があり計算式が違いますが、証明書に書いてあるとおりに転記して、申告書の計算式どおりに埋めれば大丈夫です。
控除証明書の金額をそのまま書きます。上限は5万円です。火災保険だけの契約は対象外で、地震保険部分のみが対象になります。
給与から天引きされている健康保険・厚生年金は会社が把握しているので、書く必要はありません。自分で払ったものだけを書きます。
年末までに支払う予定のものも含めて構いません。ただし実際に支払わなければ控除は受けられないので、書いたら必ず年内に払ってください。
iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済の掛金です。届いた控除証明書の金額をそのまま書きます。全額が控除になる、効率のよい控除です。
保険料控除申告書に「23歳未満の扶養親族の有無」を選ぶ欄と、その扶養親族を書く欄が新設されました。該当する方はここにチェックを入れないと、一般生命保険料の6万円が使えません。
名前は長いですが、ほとんどの方は基礎控除申告書の部分だけ書けば終わります。ここに書く「所得」は年末時点ではまだ確定していないので、見込みで構いません。源泉徴収票が手元にあるなら、昨年の金額を参考にしてください。
自分の給与の年収見込みを書き、そこから給与所得の金額を計算して、該当する区分にチェックを入れます。
国税庁の給与所得控除の自動計算ツールに年収を入れると、給与所得の金額が出ます。手書きの計算表とにらめっこするより確実です。
合計所得金額が489万円以下(給与収入だけならおよそ665万円以下)であれば、基礎控除は104万円で固定です。そこを超える方だけ、区分の選択を慎重にしてください。
配偶者の年収見込みを書きます。目安は次のとおりです。
令和8年分から加わった欄です。お子さんの年収見込みが136万円超197万円以下なら、ここに書いてください。書かないと控除されません。136万円以下なら扶養控除の対象なので、この欄ではなく『扶』の方に書きます。
年収850万円を超える方のうち、次のいずれかに当てはまる場合に記入します。当てはまらない方は空欄のままで構いません。
ここを勘違いされている方が多いところです。次のものは年末調整では処理できません。
| 項目 | どうするか |
|---|---|
| ふるさと納税 | 確定申告、またはワンストップ特例(寄付先が5自治体以内で、確定申告をしない方に限ります) |
| 医療費控除 | 確定申告 |
| 住宅ローン控除の1年目 | 確定申告(2年目以降は年末調整でできます) |
| 寄付金控除(ふるさと納税以外) | 確定申告 |
| 雑損控除 | 確定申告 |
| 不動産(マイホーム・土地など)の売却 | 確定申告(年末調整では処理できません) |
ワンストップ特例を申請していても、医療費控除などで確定申告をすると特例は無効になります。その場合はふるさと納税も確定申告書に書き直してください。書き忘れると、寄付した分がまるごと控除されません。
マイホームや土地・建物を売却した年は、年末調整とは別に確定申告が必要になる場合があります。売却で利益(譲渡所得)が出ていれば申告が必要ですし、損が出ていた場合でも、特例を使えば税金が戻ることがあります。勤務先の年末調整だけでは終わりません。
まずは「売却で利益が出ているかどうか」から確認してください。判断のしかたは不動産を売却したら確定申告は必要?にまとめています。
報酬の目安や手続きの流れは不動産売却の確定申告のページにまとめています。ご不明な点はご予約・お問合せからお気軽にご相談ください。
2年目以降は年末調整で受けられます。次の2つを会社に提出してください。
税務署からの用紙は1年目の確定申告のあとにまとめて送られてきます。なくしてしまった場合は税務署で再交付を受けられますので、早めに動いてください。
年の途中で転職しました。どうすればいいですか。
前の会社の源泉徴収票を今の会社に提出してください。2社分をまとめて年末調整してもらえます。ただし、前の会社を退職してから入社までに期間が空いている場合は、年末調整をしてもらえないところもあります。その場合や、源泉徴収票が間に合わない場合は、確定申告で精算してください。
副業(アルバイトの掛け持ち)があります。
扶養控除等申告書を出せるのは1社だけです。メインの勤務先で年末調整を受け、副業分は確定申告で合算してください。
控除証明書を失くしました。
保険会社・金融機関に連絡すれば再発行してもらえます。年末調整に間に合わなければ、確定申告で控除を受けることもできます。
提出後に間違いに気づきました。
会社が源泉徴収票を発行する前なら、会社に申し出れば直してもらえることが多いです。間に合わなければ確定申告で精算します。
12月に手取りが増えると聞きましたが本当ですか。
令和8年分は、毎月の源泉徴収に改正が反映されていません。引かれすぎていた分が12月の年末調整でまとめて戻るため、多くの方は12月の手取りが増えます。
年末調整は、書けば戻ってくる、書かなければ戻ってこない手続きです。特に令和8年分は改正が大きく、例年どおりに書くと本来受けられる控除を取りこぼすおそれがあります。お子さんのアルバイト代、配偶者のパート収入、23歳未満のお子さんがいる方の生命保険——このあたりは、今年は一度立ち止まって確認していただきたいところです。
会社の担当者の方は、従業員への案内文に「今年は基準が変わりました」と一言添えるだけで、問い合わせがかなり減ると思います。
高槻市の税理士事務所です。法人・個人事業主の方の税務顧問、不動産を売却された方の確定申告、相続税の申告などを行っています。年末調整の実務や、給与計算まわりのご相談も承っています。
※ この記事は令和8年(2026年)9月時点の法令にもとづいて書いています。個別の事情によって取扱いが変わることがありますので、判断に迷われる場合は勤務先または税理士にご確認ください。
参考:国税庁「No.1199 基礎控除」「No.1177 特定親族特別控除」「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」