専業主婦が扶養の範囲内でいるためには。メリット・デメリットを解説【税理士が解説】

今回は専業主婦の方が働くとき、いくらまで稼ぐと扶養の範囲内でいられるか??

ということについて書いていきます。

目次

結論

 
☆結論☆

130万までにおさえる。
ただ、月15~20万以上の給与を稼げるのなら、それはあえておさえる必要はない

というのが私の結論です。

では、解説していきます!

まずは、「扶養の範囲内」ということについてを考えてみましょう。

みなさん「健康保険証」を持っておられると思いますが、それはどこからもらったものでしょうか??

  1. 自分の勤務先(全国健康保険協会・組合保険etc)
  2. 旦那さん(奥さん)の勤務先(全国健康保険協会・組合保険etc)
  3. 市区町村(国民健康保険)

上記の1~3のどれかに当てはまる人がほどんどだと思います。

1・2は、お給料から健康保険や厚生年金etcが引かれている方ですね。

は、毎月または年10 回程にわけて、現金で納付するか口座振替され自分たちで支払っている方たちです。

今回は、この中でもに該当する人のうち、全国健康保険協会の保険証を持っている方が対象となる話になります。

「旦那さんの勤務先」から健康保険証をもらっている人は、旦那さんの社会保険の扶養になっていることになります。

旦那さんの会社から家族の健康保険証がもらえるには一定の要件があります。この一定の要件を満たすと「扶養の範囲内」ということになります。

扶養家族とは

この「扶養の範囲内」の「扶養」という考え方について、まずは考えてみましょう。

「扶養の範囲内」の「扶養」とは?

扶養とは、「自分一人の力で生活することが難しいため、家族や親族から経済的な援助を受けることです。

扶養には「税金の扶養」「社会保険の扶養」と二つの考え方があります。

(以下、旦那さんがサラリーマンで、奥さんが専業主婦の場合を想定して説明しています。)

1、税金の扶養 

税金の扶養」は、旦那さんの税金の計算をする際に、旦那さんに扶養すべき家族がいる場合、扶養控除etcを受けることができるため、少し税金が安くなる。これが「税金の扶養」です。

これは「扶養控除」や「配偶者控除or配偶者特別控除」と言われています。

「税金の扶養」の要件
  1. 扶養控除配偶者控除:給与収入が103万円以下(交通費含まない。)
  2. 配偶者特別控除:給与収入が103万円〜約201万円以下(交通費含まない。)

扶養控除は、配偶者以外の親族。配偶者控除配偶者特別控除は、配偶者。

「税金の扶養」の特典
  • 旦那さんの税金が安くなる!

つまり、、
奥さんの収入が201万円までの場合、奥さんの収入額に応じて、配偶者控除or配偶者特別控除が受けることができるので、旦那さんの税金を少し安くすることができるということになります。

税金の扶養の範囲におさえる」とは、旦那さんの税金の計算時(年末調整)に、配偶者控除配偶者特別控除が受けられるように奥さんの収入をおさえることを言います。

→ 年末調整については、こちら

→ 年末調整の対象期間についてはこちら

でそれぞれ解説しています。

2、社会保険の扶養

次は「社会保険の扶養」です。
社会保険の扶養に入ると、その扶養に入った家族分の健康保険証を旦那さんの勤務先に追加で発行してもらえるようになります。

さらに!

配偶者の場合は、第3号被保険者と言って、国民年金の保険料を納めなくてもよく、かつ、保険料は納付済みとして将来の年金額にしっかり反映されることになります。こんな得な制度です。

ここで気になるのが保険料ですが、、、

旦那さんの給与から引かれている健康保険料は、扶養家族が増えたからといって、増えるということはありません

この「社会保険の扶養」に入る要件が下記になります。

「社会保険の扶養」の要件

給与の収入が年間130万円月間108,333円)までの親族と決められています。

※月間の金額は、超えたらすぐに入れないわけではなく、108,333円以上の収入が見込まれるようになったら要件から外れるだけなので、たまたまその月超えてしまったというだけでは問題ありません。

社会保険の扶養」のメリットが下記になります。

「社会保険の扶養」の特典(配偶者)
  • 健康保険証がもらえる
  • 国民年金を納めなくてよい
  • 国民年金を納めていないけど、将来の年金はもらえる

まとめ

以上、見てきたように、

税金の扶養」は103万~201万

社会保険の扶養」は130万

このように扶養になるためのには、それぞれの要件があります。

結論としてあげている、130万円までにした場合、

「税金の扶養」の特典、「社会保険の扶養」の特典の両方を受けることが出来ます

ただ、デメリットが二つ考えられます。

デメリット
  1. 奥さんに少し税負担が発生する。
  2. 130万の壁を意識しすぎると、これ以上収入を増やせなくなる

税負担が発生する

(ここからは少し細かい話です。。)

103万円の年収を超えると税金の負担が発生します。

これは、103万円を超えた部分に対してかかります。

税率は約15%(所得税5%住民税10%)。

つまり130万稼いだ場合の税金は単純計算で下記の算式になります。

「(130万ー103万)×15%=40,500円

27万円稼ぐのに約4万円の税金がとられます。

103万円までは100%手元に残ったのですが、103万円~130万円までの27万円部分は、15%の税負担があります。

でも、逆を返せば、、

103万円を超えても、85%は手元に残り、収入としては増加します。

つまり、「扶養の範囲内」で考えるなら、130万円までは、「税金の扶養」「社会保険の扶養」両方に入れた上で、収入も最大限に増やすことが出来る、ベストな金額だと考えています。

これ以上収入を増やせなくなる

結論として、もう一つ「ただ、月15~20万以上の給与を稼げるのなら、それはあえておさえる必要はない」とも書きました。

どういうことかというと、上で説明した85%は手元に残るという話になるのです。

(ここからも少し細かい話になります。)

①奥さんが扶養から外れた場合に増える負担  130万を超えて入ってくる収入 
この算式になるように考えると、、

①奥さんが扶養から外れた場合に増える負担

  • 奥さんの国民年金・健康保険料(国民年金20万・健康保険15万)
  • 旦那さんの増える税金(配偶者控除が受けられない分)(所得税2万~4万・住民税3万~4万)

合計 40万~43万あたり

※健康保険料の計算が変動的で少し計算しにくいですが、大体の概算計算です。ご了承ください。

②130万を超えて入ってくる収入

一月15万・18万・20万の場合の年収が130万をいくら超えるか計算してみましょう。

  • 15万×12か月-130万=50万
  • 18万×12か月-130万=86万
  • 20万×12か月-130万=110万

これを上記の算式にこのようになります。

① 40万~43万ほど   50万(月15万)・86万(月18万)・110万(月20万)

月15万だと、増えた負担分を負担して、少し残る程度(50万-43万)になります。

月18万になると少し手元に残るお金が増えます(86万-43万)。

月20万になると、結構残ります(110万-43万)。

もし、しっかり働ける主婦の方で130万円を超えないようにおさえている人は、130万を超えて世帯の収入を増やす。という選択肢が増えるかもしれません。

参考にしてみてください。

ちなみに、年収が130万円を超えても、150万円位になってしまう場合、国民年金の負担だけで20万は増加してしまうことを考えると、頑張って130万におさえる方が得といえます。

 

 

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